SFセミナーレポート





 憲法記念日に行われたSFセミナーに初参加しました。会場の全電通労働会館ホールには二、三百人くらいが集まっています。さすがSF者は熱心なファンが多いですな。
 セミナーは四部構成で最初は「正しいライトノベルの作り方?――疾走する作家、桜庭一樹のスタイル」
私のお目当ての企画です。端的に感想を言うと、桜庭さんは大勢に向けて自説を説くタイプではなく、一対一で話をするタイプの方なんだなということ。なので、聞いていてとても楽しかったのですが、ここで内容を要約するのは無理ですね。なので、印象深かった話を断片的に書きます。
*「赤×ピンク」は会議で落とされるだろうと思っていたら、誰一人反対はしなかったので、通ってしまった。だが、全然売れなかったので死のうと思った。
*元々女の子視点の話を書いてきたが、「GOSICK」で初めて少年視点に挑戦した。ファミ通の担当さんが女性だったのに対し、富士見の担当さんが男性だったことと関係ある。
*「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」はライトノベルを意識し、「1子どもの世界、2ミステリィ等の知識が必要なお約束は入れない」という方針で書いた。今度ミステリィフロンティアから出るのは反対に大人を意識した。
 全体的に「異端的ライトノベルの作り方」とでも言うべき内容でした。
 (のりぽん・ザ・リッパーさんが詳しいレポートを書かれています。)

 二番目の企画は「異色作家を語る」。ゲスト三人が挙げた60冊を一冊も読んでいなかったので、にんともかんともでした。ただ、浅暮三文さんの内容紹介の間が絶妙で、面白かったです。あと、中村融さん怒りの解説により「ふたりジャネット」が「涼宮ハルヒの憂鬱」みたいな話だと分かりました(読んでないのに)。

 三番目は「SFファンの引越し」。引越し経験者の四人が自らの経験を披露するというもの。これはSFをまるで知らない人が聞いても面白かったと思います。計画的にかっちょ良い書庫を建てた門倉純一さんや風野春樹さんの話もスケールがでかかったですが、やはり、大野修一さんの無計画な引越しにシンパシーを感じました。

 最後は「鈴木いづみRETURNS」。私は鈴木いづみさんのことをまるで知らなかったのですが、文学的に普遍性をもった話題がぽんぽん飛び出し、興味深く聞きました。高橋源一郎さんは「作者が感情的固着がないので、知っているはずのものを書いていながらパラレルワールドに見える。」「資本主義的ガシェットを全身にまとうスピード感は岡崎京子やボリスビアンに似ており、ブレーキがないので破滅型だ。」「希薄な現実感と向き合った結果、現実もフィクションなので、何もかもが入っており、いつまでも古びない。」というような高度なことを熱く語っておられて、さすがに深い。大森望さんが、キャラクターが統合失調症的で、普通の文学だとひたすら痛々しいんだけど、SFだとキャラクターが言うとおり、本当に宇宙人がやってくることに出来るので、救いが生まれるという話をされていて、何か桜庭一樹さんの小説と似ているなあと思っていたら、直後に大森さんも似ていると指摘されたので、うれしくなりました。



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