何故めんまが見えたのか――あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない感想




(本稿は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のあからさまなネタばれを含みます。)

 2011年4月からフジテレビ系列で放送されたアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』は大きな謎を抱えている。一つは「あの日見た花の名前」は何か。もう一つは何故めんまが見えたり見えなかったりしたのかだ。前者については失われた何かが素晴らしい推理で解き明かしてくれたので、ここでは後者について考える。
 何故、めんまは最初はじんたんだけに見え、最終回の途中で誰にも見えなくなり、その後五人から見えるようになったのだろうか。

 めんまがじんたんだけに見えた理由としては、めんまの願いがじんたんを泣かすことだったからと説明できる。めんまがじんたんにも見えなくなったのは、めんまの願いが叶ったからだ。だが、そうすると、何故最後に五人全員から見えるようになったのかが説明できない。
 五人に見えるようになったのは、かくれんぼでめんまが皆に見つかったからだという説明は可能だ。そうすると、じんたんに見えなくなったのは、めんまが隠れたからだということになる。だが、この説明は無理がある。何故なら、めんまが「かくれんぼだよ。」と宣言する前に、既にじんたんからめんまが見えなくなっていたからだ。見えなくなったことを隠すために、かくれんぼだと言ったと解釈する方が自然だ。

 考えるに、めんまの側に原因があるのではないように思う。めんまはみんなとちゃんとお話したいが故に生まれ変わりを望む程、超平和バスターズの五人とのコミュニケーションを切望している。めんまにとってじんたんが特別な人であるのは確かだが、五人全員を大好きであり、結果として全員を泣かしているのだから、めんまの願いによって、じんたんだけに見えるようになったというのは違和感がある。問題は五人の側にあるのではないだろうか。
 一つ考えられるのが、「めんまに対し、言うべきことを持っている人にだけめんまが見える。」という仮説だ。じんたんは、めんまに対し、五人の中で唯一言うべきこと(好きだということ)を言いそこねた人だ。しかし、秘密基地へ向かう際に、想いを伝えてしまったので、言うべきことを失ってしまい、見えなくなった。その後、五人は、めんまから「大好きだ。」というメッセージを受け取り、言うべきこと(自分も大好きだということ)を得た。従って、五人から見えるようになったのではないだろうか。
 この説には傍証がある。ゆきあつはつるこに対し、言うべきことを持たなかったため、視聴者なら誰もが気づいただろうつるこの想いが見えなかった。コミュニケーションを望んでいない人間はいないも同然なのだ。



トップページに戻る