ノーアウト一塁で送りバントかヒッティング(強攻)か




 野球において、ノーアウト一塁で送りバントかヒッティング(強攻)かというのは良く議論になる。
無死1塁でバントで送るのと強攻ではどちらの方が得点が入りやすいか?
によると、佐藤精一氏らは05年のプロ野球前半戦432試合のデータを集計。送りバントありでは0.91の得点が見込まれ、なしの場合は1.06点だったため、「バントは損」と結論づけている。
この調査は一見もっともらしいが、大きな欠陥がある。何故なら、好投手が相手で、なかなか点が取れそうにないときは、送りバントを、相手投手を打ち崩せそうな時は強攻するのが普通であり、同じ条件下での比較ではないからだ。
 コイントスをして、表ならバント、裏なら強攻という風に、ランダムに作戦を決めてくれる監督がいれば、同じ条件下での比較が出来るのだが、あいにく、そんな監督はいそうもない。
 そこで、以下のような仮定をして単純化したモデルを元に、計算を行った。
仮定
・打者は全員打率三割でシングルヒットしか打たない。
・ヒットでは走者も一つしか進塁しない。
・アウトの場合、走者は塁に釘付け。(ダブルプレイもアウトの間の進塁もなし)
・送りバントは100%成功。
・エラーや四死球、ボーク等はなし。


計算結果は表1の様になる。ヒットを一回に21本以上打つ確率は少ないので無視した。
送りバントの場合、平均0.263点取れるが、ヒッティングの場合、平均0.280点取れる。従って、ヒッティングの方が良い。

ただし、1点以上取れる確率は、送りバントが21.6%なのに対し、ヒッティングは16.3%しかない。1点取れば勝てるような場面では、送った方が良い。


次に、打率を二割五分に変えてみると、表2の結果になった。
送りバントでは0.178点取れるのに対し、ヒッティングでは0.160点。従って、打者の打率が二割五分の場合は、送りバントをした方が良いことになる。


打率を一分刻みで変えてみた結果が表3である。
打率二割九分以上では、ヒッティング、二割八分以下では送りバントをした方が良いという結果になった。

結論:打者の平均打率が二割九分以上の場合はヒッティング、二割八分以下の場合は送りバントをした方が良い。



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