電波大戦 感想



『電波大戦 ぼくたちの”護身”入門』(太田出版)は『電波男』の本田透さんがオタク界の偉大な人々(竹熊健太郎博士、岡田斗司夫閣下、滝本竜彦きゅん、倉田英之先生。”きゅん”って・・・・・・)と対談した本だ。テーマはオタクを襲うモテの魔の手からいかにして身を守るか。何でもオタクが売れたり儲かったりすると急にモテるようになり、そこでうかうかと女性と付き合ってしまうと、途端に才能が枯渇してしまい、復活まで何年もかかるという悲惨なことになるらしい。『電波大戦』ではその危機に別のスタンスで立ち向かった四人に話を聞いているので、”モテの魔の手”とその対処法が効果的に身につくようになっている。なってはいるのだが、
そもそも私は売れたり儲かったりする以前にデビューすらしておらず、オタクを襲う”モテの魔の手”などまるで無縁なので、全くの無駄知識なのでした。捕鯨の仕方くらいの無駄知識だよ。そもそも”モテの魔の手”の危機にさらされているオタクなんて日本にせいぜい二桁ぐらいだろうから、まさに「捕鯨の仕方」ぐらいの実用度と言えよう。
 岡田さんが恋愛によって仕事が崩れる人と崩れない人がいると指摘しているが、それは現実の体験が色濃く仕事に反映しているかどうかによるのだと思う。以前部活の後輩のしゃらくさんが、現実の体験をテーマに作品を書くのは危険だと主張していて、いまいちぴんとこなかったのだが、それは竹熊さんのような状態になるのが危険だということだったのか、と得心した。つまる所、クリエーターが”モテの魔の手”に対処するには、作品を現実の体験とは独立したものとして立ち上げる必要があるというのが私の結論だ。本田さんが選択した、女性を跳ね除ける方式の護身では、避け切れなくなった時に、作品もろとも崩壊してしまう可能性が高い。
 そう考えると、実践死闘編、特に「合コン・一乗下り松での決闘」はよろしくない。まさに現実の生々しい体験そのものを作品としてしまっているからだ。滝本さんの「ぐるぐる人生相談」も実話らしく、読んでいる分には面白いけど、自らの幸福を二の次にしてるよなあ。
 人生には、生き方として目指すべき目標がある方が具体的イメージを立て易い。本田さんは倉田さんを人生の手本に定めたようだが、私としては、奥さんへのラブラブ感が作品からかいま見える、小川一水さんあたりを手本にしたい所だ。

 実用書としてではく単に対談集として見ると、かなり面白い。特に倉田さんのリアル読子の話や『ミンキーモモ』が俺を救ってくれた!話など小説内の出来事のようだ。

 それはそうと『かみちゅ!』は素晴らしかった。まだ全部は見てないが、「小さな決心」も「君に決定」も「ふしぎなぼうけん」も何もかも大好き。感情の動きが丁寧に追いかけれていて、日常芝居がすごくリアルだ。しかし、全12話って短すぎ! いくらでも続けられそうなのに。しかも録画した最終話が途中で切れてる(ぐはあ)。



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