がんばらない党がない――橋下徹市長インタビュー感想




 2012年2月12日の朝日新聞朝刊に掲載されていた、橋下徹大阪市長のインタビューが面白かった。氏は「今の日本人の生活レベルは世界でみたら、五つ星ホテル級のラグジュアリーなもの」であり、「これを享受するには、すごくコストがかかる。維持するかどうか最初に決めないといけない。」として、今のレベルを維持するために『国民総努力』をするか、努力せずに生活を東南アジアレベルに落とすかという選択肢を提示する。

 今まで、私は橋下氏のことを、良いことも言っているが、肌の合わない人だと感じていたが、その原因が分かった。橋下氏の言っていることは概ね正しい。論争を挑んだ左派の学者連中が総崩れになったのも、橋下氏の主張が論理的に正しいからだ。だが、橋下氏と私のような人間では、目指す社会が異なっている。橋下氏は今のレベルを維持したいと考えていて、私は東南アジアレベルで良いよと考えているのだ。これは好みの問題なので、どちらが正しいというものではない。

 問題は、国民総努力を訴える政党(維新の会とかみんなの党とか)は存在するのに、「生活を東南アジアレベルに落とせ! 所得半減だ!」などという主張を掲げる政党が存在しないことだ。頑張らない人を守るという意味では、共産党や社民党がそうなのだろうが、生活レベルが落ちてもしょうがないと言わないせいで、責任政党に見えない。

 頑張らずにほどほどの生活が良いなあ、という主張の党がないのは当然だ。何故なら、頑張らずに生きていきたい人は、頑張って政治家になどならないからだ。「頑張って練習しない」けいおん!がヒットしたり、散歩がブームになったりと、頑張らない社会を望んでいる人は、潜在的に結構いるはずだ。がんばらない党ができ、発信力のある優れた党首がいれば、みんなの党よりちょっと少ないくらいの議席はとれると思うのだが、そういう党を支持するような人はみんな怠け者なので、がんばらない党は設立されない。困ったものである。

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