同業者が審査するということ――キングオブコント2013感想



 キングオブコント2013で印象に残ったのはうしろシティの惨敗だ。私の中での面白さで言えば中盤程度にも関わらず、点数的には圧倒的最下位になったことには釈然としないものを感じた。司会の浜田雅功氏も同様に感じたのか「君らうしろシティちゃんと見てた? 」と発言している。

 うしろシティ惨敗の理由はオーソドックスなネタをやったことだろう。今年のキングオブコントはなんじゃこりゃとつぶやかずにはおれないような奇天烈なネタが多かった。そんな中、うしろシティは「町を出ていく奴の見送り」「結婚の挨拶」という定番ネタを一捻りして出してきた。奇天烈なネタの方が点が高目に出ていた訳だが、それはキングオブコントの審査方式に原因がある。

 キングオブコントは準決勝で敗退した芸人達、すなわち同業者によって審査される。同業者が一般人より重視するポイントが二つある。革新性と技術力だ。同業者は自分に出来るかという視点で審査する。従って、自分には出てこない斬新な発想や、自分には出来ないような高い技術を評価する。一方、一般人は単純に面白いかどうかで評価する。そこに一般人と専門家の評価に乖離が生じる。例えば、一般人たる筆者が最も笑ったのはジグザグジギーの二本目(ナイフが手から離れないコント)だがさほど高い点を得られなかった。おそらく演技力を必要としないネタだったからだろう。

 キングオブコントの奇天烈なコントの端緒となったのは、2700のキリンとゾウのコントだろう。あれを見た時の衝撃は強烈で、自分の中の面白さの概念が書き換えられるのを感じた。あのネタはコント史に残る傑作だと思う。だが、あのネタ以降、奇天烈なコントがどんどん増えているのは由々しき事態だ。今年の点数の出方を見ると、奇天烈なネタを出すという戦術は有効だ。だが、斬新なネタを模倣したネタはもはや斬新ではない。今年の数々の奇天烈なコントの中に、2700のコントを超える斬新さを持ったものは存在しなかった。さらに言うと、コントが奇天烈な方向に進んでいってしまうと単純に面白いコントが見たい一般人との乖離が広がり、一般人のコント離れに繋がってしまう。奇天烈なコントを披露することはキングオブコントで上位に食い込むための戦術としては有効だが、コント界全体の隆盛のための戦略としては愚策なのだ。

 そういう意味で一般人が見ても面白いコントを披露したかもめんたるが優勝したのは良かった。専門家と一般人の評価の決定的な乖離はひとまず回避されたのだ。

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東雲製作所評論部(感想過去ログ)