共感の作りかた――けいおん!!20話感想




 (けいおん!!20話のネタばれを含みます。)
 今頃になってTVアニメ『けいおん!!』20話を視聴。ライブ後のシーンではらはらと落涙する。さすが神回と言われるだけのことはある。
 見返してみて、気づいたのが、演出の見事さだ。

 大盛況のうちにライブが終わった放課後ティータイムのメンバー達は、部室で今後の予定を語り合う。
「次はクリスマスパーティだよな」と始まった話は、お正月を経て、次の新歓ライブへと至る。
 ここで、メンバー達を写していたカメラが外れ、来年の夏の予定を語る声だけが流れる。
 ここで、律が「次はないない」と突っ込んだ所でカメラが律や唯達に戻ると、今年で卒業する三年生の四人はもう泣いているのである。
 このシーンを普通に演出すると、会話の途中で、来年も軽音部のメンバーではいられないということに気づいてはっとして落涙する四人の顔が映し出されるはずだ。だが、あえて、その絵は外された。何故か。それは視聴者にも、自分で、次はないんだ、と気づいてはっとして欲しかったからではないだろうか。
 ここで、次はないことに気づいた瞬間の唯達を映すと、視聴者は、「次はないことに気づいた唯達を見ている自分」という客観的位置に置かれてしまう。唯達を映さないことで、視聴者は、自ら、次はないことに気づき、唯達と同じ立場に立つことが出来る。それ故に、これだけ多くの視聴者が、四人と一緒におんおん泣かされてしまったのだ。
 この回の絵コンテは石原立也氏。流石である。

 このシーンでもう一つ印象深かったのが、「次はない」という誰も言いたくないことを言ったのが律だったこと。やはり、何だかんだ言って、軽音部の部長は律なんだなあ。



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