ライトノベルデータブック感想



 一言で言うと気が狂うような労作。
 ライトノベル解説本ブームで「ライトノベル完全読本」「このライトノベルがすごい!」「ライトノベル☆めった斬り」と雨後の筍の如く関連本が出版された。それぞれ「作家の声」「ランキング」「歴史」という異なった視点で切り込んで差別化を計っていたが、さすがにこれ以上出しても屋上屋を重ねるだけだろうと思っていた。だが、本書は「網羅性」を以って見事に意義を確立している。前出の三冊は、大なり小なり作品のセレクトに偏りがあったが(そこがカラーでもあった)本書で首をかしげたのはスーパーダッシュ文庫が「その他のレーベル」扱いなことくらい。売上エースの賀東招二さん他の扱いが小さく、複数レーベルで書いている作家を大きく扱っているのも、未知の本を探すという観点から考えれば悪くない。
 それにしても血のにじむような労作である。本書は八人の著者によって執筆されているのだが、八割方は榎本秋さんが書いている。ライトノベルであるからして、一シリーズの書評を書くのに通常でも五冊、最悪何十冊も読まねばならないのだ。私がこんな仕事をやらされたら、ライトノベルを見る度に「ライトノベル怖いよー」とつぶやいて泣き出すに違いない。榎本さんは人外の存在に違いない。
 本書で一番嬉しかったのは、細谷正充さんがネット企画の「このライトノベルがすごい!」をきちんと評価してくれたことで、めでたしめでたしである。

 yuiさんの指摘をうけて、最後の二文を削除しました。詳しい経緯は掲示板に書いてあります。(05.5/24訂正)


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