メガネとツンデレは逆概念



 「メガネとツンデレは逆概念である。」という仮説が本論の結論である。
 ここで言う「メガネ」や「ツンデレ」は共におたくが愛好する萌え要素だが、共に以前は脇役的要素であったのが、近年になって脚光を浴びてきたという共通点がある。

 ここでメガネとツンデレについて軽くまとめておきたい。そんなことは知っているという方は読み飛ばしてもらいたい。
 「メガネ」とは文字通り眼鏡をかけたキャラクターのことで、少女がかけている時は「眼鏡っ娘」と呼ばれる。代表的キャラクターに『R.O.D.』の読子=リードマンや『ToHert』の保科智子がおり、「委員長」「本好き」といった概念と親和性が高い。また近年では、ペ・ヨンジュン氏や手塚国光など、男性メガネキャラも人気がある。
 メガネ好きには急進派が存在し、「うそメガネ(目が悪くないのにメガネをかけていること)は邪道だ。」とか「メガネを取ると美形というのは許せん!」などといった厳格な基準を持っている。
 メガネキャラに関しては スズキトモユ氏の労作「メガネメガネメガネ」に詳しい。

 一方の「ツンデレ」は今世紀になってから発見された概念で、「普段はツンツンしているが、好きな人の前ではデレデレするキャラ」という定義が一般的だ。代表的キャラクターに『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレーや『灼眼のシャナ』のシャナなどがいる。2005年に大ブレークし、一時はツンデレにあらずばキャラにあらずともいうべき状況であった。
 ツンデレの魅力はツンツンしている時とデレデレしている時のギャップにあるというのが定説である。当初は綾波レイのような普段はクールでちらりとデレデレした様を見せるキャラもツンデレとされていたが、後に「クーデレ」という新語が登場し、分離された。

 さて、ここで各萌え要素の本質について考察したい。
 まず「メガネ」の本質は「他者(特に異性)からの評価を気にしない」態度である。そのことは一般的に、見栄えが良いとされているコンタクトではなくメガネを選択するという態度から読み取れる。メガネ好きはメガネキャラの他者を気にしない芯の強さを愛しているのだ。こう定義すれば、メガネ好きがうそメガネや好きな人の前でメガネを着脱してみせることを嫌うことの説明がつく。どちらも、他者に対してアピールする手段としてメガネを用いているからだ。
 一方、「ツンデレ」の本質は「他者(特に異性)からの評価を気にする。」ことにある。気にしているからこそ、好きな人の前では普段とは全く違った態度を取ってしまうのだ。ツンデレ好きは、メガネ好きとは逆に、ツンデレキャラがときおり見せる心の弱さ、かわいらしさを愛しているのだ。
 であるから、「クーデレ」は「ツンデレ」よりもむしろ「メガネ」に近い。クーデレキャラはどんな相手に対しても、ほぼ一貫してクールであることにこそ本質があるからだ。

 他者からの評価を気にしないことは難しい。「メガネ」好きと「ツンデレ」好きの違いは、自分より強い、かっこいい人を好きになるのか、弱い、かわいい人を好きになるのかの違いと言えるかもしれない。



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