東雲文芸02――創刊の辞


 東雲ラノベ文庫創刊の辞



 現在はバブル崩壊後久々に巡ってきた好景気であり、余剰資金が投資先を求めてさ迷っている。
 出版事業は初期投資が少ない分、ローリスクであるという利点がある。
 そんな中、ライトノベル事業に参入するのは、メディアミックス展開の可能性に賭けたからだ。
 万が一メディアミックスが実現した時、原作を握っていることのメリットは大きい。
 『涼宮ハルヒの憂鬱』の大ヒットにより、角川スニーカー文庫が息を吹き返したのは記憶に新しい。
 メーカーの方々はぜひとも当文庫の作品をコミック化、ラジオドラマ化、アニメ化、映画化して頂きたい。
 切にお願いする。この通りだ。
 一方、ライトノベル市場は既に飽和状態である。角川グループが覇権を握っており、新規参入の当文庫が成功できる見込みは薄い。
 ギャンブルにおいて重要なことは、引き際を知ることである。
 赤字金額が一定額を超えた時はすぐさまレーベルを廃刊にし、撤退するという一撃離脱の精神で、今、東雲ラノベ文庫を創刊しない。

 2007年12月1日
 東雲長閑



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