最近の東雲




母と訪ねて三千里



 出張で車の運転をすることになった。しかしながら私は北海道で自爆事故を起こして以来のペーパードライバー。そこで母に乗ってもらい、レンタカーで練習をすることにした。
 家の周囲をぐるぐる回ってから成田街道へ向かい、一路鹿島神宮へ。お参りをしてから取って返し、家に辿り着いたのは七時頃。走行距離は180キロを超えていた。道中は極めて安全運転で、あまりここで書くようなことは起こらなかった。あえて言えば、合流車線をそのまま走っていて、何時の間にか反対車線に入っていて、正面から車が突っ込んで来たり、駅前ロータリーに突入して、タクシー専用レーンに入りそうになったぐらいだ。
 この様に、書くような失敗談は無かったが、いくつか発見があった。第一に、ドライバーは親切な人が多いということだ。一日で、五回も道を譲ってもらったのだ。これまで私は、ドライバーと言うと、人を轢き殺し、地球を温暖化させ、たばこの吸い殻を投げ捨て、初心者のことを煽り立てるような無法者集団というイメージがあったのだが、そんなことをしているのはごく一部なのだと分かった(温暖化は皆させているけど)。
 第二に、運転をしていると会話がはずむことが分かった。
 「あの『危険』って書いてあるトラックは何を積んでるのかな。」
「ライオンとか乗せてたりしてね。」
「あっ、あのトラック走り方がおかしいよ。」
「うわっ、ライオンが暴れだして大惨事だ。」
という風に、非常に有意義な会話を交わすことが出来た。
 さらに、走行中に小説のネタまで思いついてしまった。それは鼻ピアスにモヒカンのヤンキー(マルコ)が改造車を駆って三千里先のお袋さんに会いに行く話で、考えるだに傑作間違いなしだ。
 家に帰った時には、前頭葉がかってないほど強張っていた。新たな体験をすると新たな知見が得られ、頭が活性化するという教訓を得た。
(05.2)



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