最近の東雲



世界の分断、あるいは学生時代から彼女と付き合っていたなんて許せん!という話



 大学の同級生六人と飲み会をした。内、一人とは仕事の関係で時々会っているが、他の人とは久しぶりだ。
 よく会う友人経由で六人の内一人が結婚して子どもがいるというのは聞いていた。だが、会ってみると、他の一人も、昔から付き合っていた彼女ともうすぐ結婚するのだという。そしてもう一人は転職を期に彼女ができたのだという。
 彼女の話に続いて、仕事の話も出た。SEをしている同級生は、六人のチームの内二人が倒れてしまい、七日連続泊り込みになって、「あれ、今三時って昼?夜?」とかいう状況になると話していた。

 私は、「彼女がいる人」とか「過酷な労働を強いられる社員」といったものが存在することは聞いて知っていたが、どうも「イラクの爆弾テロで亡くなった人」と同程度のリアリティーしかもてなかった。しかしながら、実物を間近に見ると、地続きの世界の出来事なんだなあということを実感した。

 以前、「小泉政権を支持している人に会ったことがない」と書いていたジャーナリストがいたが、普段の生活では自らに近い人と集まりがちだし、遠い人には内面を見せないので、世界の半分が自分と似たような人で出来ており、残りの半分は向こう岸にいて槍を構えてにらみ合っているかのように錯覚しがちだ。だが、自分とは違う世界を生きている人といっても、真っ赤と真っ青のようにまるで違うことはまれで、たいていは赤紫と青紫の違い程度なのではないかと思った。実際に行動するときは赤か青か選択することになるので、あたかも世界は「ヤンキーとおたく」「右翼と左翼」「過労死予備軍とニート」みたいに分断されているかのように見えるけれども。



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