ご要望にお答えして帰ってきた最近の東雲
大相撲を見に行った
両親と、大相撲の秋場所を見に行った。私が取った席は椅子席Bだ。椅子席というのはTV中継でも殆ど写らない二階席である。国技館に入り、二階席の扉を開ける。土俵がゴミのようだ。
何と言う小ささだ。絶望した!
しかしながら、砂かぶり席を除けば、大抵の席はTVで見るよりは小さくしか見えないのであり、TVでは見えないものを見ようと気持ちを切り替える。そこで周囲を見回すと、外国人の姿が目立つ。特に二階席は三〜四割は外国人観光客なのではないか。彼らは超望遠カメラで土俵を撮影したり、ソフトクリームを食べたりしてエンジョイしている。
到着した時はまだ幕下の取り組み中だったので、館内を見て回る。相撲案内所――昔のお茶屋さん、の並ぶ一角は赤が艶やかだ。売店ではトランプなど様々なグッズを扱っているが、飲み物が市価より数十円も高かったので、外に買いに行く。再入場する時は門で係りの人に紫外線スタンプを押してもらう。コンビニでジュースを買って戻ると、十両土俵入りが終わっていた。何か根本的な所を間違えているような気がする。
横綱土俵入りが終わると、TVでは今日の見所などをアナウンサーと解説者が語っている。その時間土俵では何をやっているのかというと、呼び出しさんが、紙に書かれた本日の取り組みを一枚一枚示しながら、読みあげているのである。長閑な光景である。
取り組みを見ながら、琴欧州弁当を食べる。美味い。館内のざわめきや、相撲の単純なルールなどのもろもろが、弁当を美味しくする方向に作用しているように感じる。
前半の程よくだらけた頃に高見盛が登場した。永谷園は高見盛に五本も懸賞をかけていたのだが、一本一本が、「鮭茶漬けの永谷園、梅茶漬けの永谷園・・・」という風に色々な茶漬け名義でかけているのが面白かった。何でお茶漬けしか宣伝しないのだろうか。
後半になると、次々大物が登場する。考えてみれば、一回見に来るだけで、トップクラスの選手を全員見ることが出来るのは大相撲の得な所だ。サッカーやバレーなどは対戦するニチームの選手しか見れないし、野球に至っては、先発投手は二人しか見ることができない。もっとも、朝青龍と魁皇はいなかったが。
大関陣の中では琴光喜からオーラが立ち上っていた。だが、その後に登場した白鵬はさらにすごい威圧感を放っており、一挙手一投足が泰然としていた。この凄みはTVで見ている時は感じなかったと思うのだが、何故じかに見ると感じるのだろう。豆粒なのに。
この相撲観戦時、私は二つの未来を予期するような会話をした。まず、砂かぶり席に女性が入っていくのを見て、母に、
「砂かぶり席に行く振りをして、土俵に突進すれば、土俵に上がれるんじゃないの。」
と言ったところ、数日後、謎のおばさんが土俵にあがり、女人禁制を破るという珍事が起きた。
また、貴賓席を見て、
「天皇も我々と同じしがない二階席なのか。」
と話していたところ、数日後に皇太子一家が訪れ観戦していった。
しかしながら、さすがに暴行致死事件までは予期できなかった。あのような事件の後では、さすがに相撲観戦に行く気にはならないので、最後のチャンスに観戦したとも言える。観戦時に印象的だったのは、名勝負になるとさかんに拍手を送る、観客のマナーの良さだった。また、母は、ラジオを返しに行った時、係りの人が、受領証をくしゃくしゃ丸めて横に押しやっているのを見て、相撲界の大雑把さを感じたという。
次の場所では観客零人とかいう事態にならないと、改革は進まないかもしれない。
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