最近の東雲



マリンスタジアムでロッテvsソフトバンク戦を見た



 新聞屋さんからチケットをもらったので、9/13マリンススタジアムにロッテvsソフトバンク戦を見に行った。適当な方向に行けばそのうち着くだろうと、地図を良く見ずに自転車で漕ぎ出したのだが、途中からマリンスタジアムに対して四十五度の方向に進んでいたため、球場に着いた頃にはへとへとになっていた。
 ボビーバーガーを食おうと、ロッテリアに並んでいたら、試合が始まってしまった。しかもいきなり先発の成瀬がぽこぽこ打たれている。一階の表が終わった所で、買えたので、急いで席に向かう。
 私のチケットは内野自由席だ。一階は満員だというので、二階へ向かうが、そこもほぼぎっしり席が埋まっている。(後で、満員御礼のアナウンスがあった。)最上段だけはある程度開いているのだが、そこは応援こそ我が命みたいな人が陣取っており、座りにくい。結局、その前の列の、出納係みたいな感じの男性の隣に座る。
 ほぼ最上段なだけに、ピッチャーとバッターの駆け引きみたいのはまるで分からない。ピッチャーが投げた後、スコアボードを見ると、「132km クールミント」とかいう表示が出ている。ホークスの先発、ホールトンはクールミントという格好よい名前の変化球を使うのか! と思ったら、後半は単なるロッテのガムの宣伝だった。
 見ている内に気づいたのが、ボールの描く放物線が美しいということだ。特に、差し込まれたファールボールがぎゅんと曲りながらバックネットに突き刺さる様からは、物理的均衡を感じた。また、ベニーがスタジアムの屋根を越えて見えなくなるようなどでかい飛球を放ったので、これはホームランか、と腰を浮かしかけたら、周りは全く興奮しておらず、内野フライだったりした。
 後ろの応援命男と、左斜め前の男はユニホームを着ており、手サインをつかって激しく応援しているが、前の夫婦連れは普通に観戦している。席を探してカップルがやってきたが、空いてない。仕方なく、階段の最上段に座った。外野の応援を見て、彼女の方が「よくあんな熱くなれるよね。」などと話している。彼氏の方が野球好きらしく、牽制球の投げ方を立ち上がって説明している。
 試合は三回にも松中にきっちり犠牲フライを打たれ、二対ゼロ。球場の空気もどんよりしている。三回の裏、ランナー一塁二塁で堀がバントを失敗すると、ブーイングが起こる。だが、福浦の打席で、鮮やかなダブルスチールが決まると、歓声が上がった。後から思うと、あれが勝負のポイントだったように思う。
 福浦の内野ゴロで一点返すと、球場にロッテの歌が響き、空気ががらりと変わった。そして、三回裏に橋本が逆転ツーランを放つと、球場全体が爆発した。夫婦連れの夫も立ち上がり、隣の男性とハイタッチを交わしている。階段の彼女も、「何か楽しくなってきた。横浜からロッテに鞍替えしようかな。」などと言って立ち上がり、応援を始めた。隣の出納係まで声を出している。僕もいつの間にか橋本への賛辞のコールに加わっていた。
 誰かが、「大松、もう一発!」と叫び、さすがにそれは無理だろうと思っていると、大松が本当にホームランを打った。ホームランは野球の華。球場で見るとそれが良く分かる。マリーンズが点を取ると、次の打者に一球投げるくらいまで、マリーンズを称える歌が鳴り響いているため、相手投手への重圧はいかばかりかと感じた。マリーンズが普通のチャンスにはあまり強くないが、点を取ったあとに、畳み掛けるように打ち崩して大量点を取るのは得意なのは、応援に原因があるのかも知れない。
 試合はその後、程よい乱打戦になって、最後まで楽しめた。印象深かったのは、小宮山投手が遠目にも威圧感があり、絶対打たせんという気迫を漲らせていたこと。その裏にサブローが勝ち越しホームランを放ったため、小宮山がわずか三球くらいで勝ち投手になったが、あの威風堂々としたピッチングは勝ち投手の名に相応しい。
 もう一つ印象深かったのは、球場の反対側からホークスの応援が響いてくる様が何となくノスタルジックで趣があったこと。リラックスして聞いていると、思わず一緒に口ずさみそうになった。危ない危ない。
 九回になって、すいてきたので、一階自由席に移った所、全然見え方が違った。今度は春か夏に来て一階で見てみようと思った。
(文中敬称略)

(08.09)



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