最近の東雲
先輩と後輩
私が勤める会社が自宅近くで開かれたイベントにブースを出した。イベント期間中は明るい内に、普段乗らないバスで帰宅することになった。
私の後ろの席に、女子高生二人組が座った。話を聞くに、二人は部活の先輩、後輩らしい。
二人はずっとしゃべり続けている。私は本を読みながら聞くとはなしに聞いていたのだが、途中で本を繰る手が止まった。
二人の関係がやたら込み入っているのだ。
先輩は男子Aと付き合っているのだが、男子Bから恋愛相談を受けているという。Bは後輩の昔からの知り合いであり、昔は太っていたが、今は滅茶苦茶格好良いらしい。後輩はしきりに、
「あんな格好良い男子に恋愛相談されたら絶対ふらっといっちゃいますよ。全然好きにならないなんてありえない。」
と追求しているのだが、先輩の方はというと、
「Bとはそんな関係じゃないんだって。Bの前で鼻ほじって鼻くそ見せたりしてるし。」
と真っ向から否定。二人の価値観が違いすぎて全然話がかみ合わない。
そのうち、先輩にAからメールが届いた。
「自転車で迎えに行くだって。」と先輩。後輩に、
「良いですよ。二人でラブラブ二人乗りしてって下さい。私は後から歩いてきますから。」と言われても、
「Aに三人乗りさせられないかな。」とあくまでマイペースだ。
降りぎわに見ると、制服をきっちり着こなした後輩に対し、先輩の方はだらだらしたジャージ姿で、靴もスリッパにかかとをつぶしている。外見だけ見れば、明らかに後輩の方がもてそうなのに、先輩の方がもてているのは、やはり、異性をあまり異性として意識していない分、障壁が低いからなのだろう。
しかし、そんな、全然違うタイプで、しかも同学年でもないのに、相手の家に遊びに行くほど仲が良いというのは、素敵なことだと思った。
(09.06)
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