食べ物以外も粗末にしてはいけません



 しばらく前になるが、『トリビアの泉』のスペシャルが放送された。その中で、「朝青龍がマヨネーズのチューブを思いっきり叩いたら中身は何メートル飛ぶか」という内容の検証実験をしていた。そこで気になったのが、台の上にはビニールが敷いてあって、飛び散ったマヨネーズはスタッフが野菜につけて全て頂きました、という断りを入れていたことだ。確かにマヨネーズを無駄にするのは宜しくないが、台の上に敷いたビニールは再利用できるのだろうか。もしビニールを捨てたのだとしたら、そちらの方がよりもったいないのではないか。
 同じ回のトリビアの泉では、「男性用小便器はおしっこ何人分の水圧で穴が開くか」という検証もしていた。この実験では、工業用のウォーターガンみたいな装置を使って水を噴射しており、ものすごい水資源と電力と数台の男性用小便器が無駄になっているが、「穴の開いた小便器はパテで塞いでフジテレビで使っています」みたいな釈明は無かった。

 メディアや視聴者は食べ物を粗末にすることには厳しいが、食べ物以外の資源を粗末にすることに関しては寛容であるように思う。

 例えば、テレビで大食い選手権が放送されると、必ず「食べ物を無駄にしている」と批判する人がいる。その通りだ。一方で、より多くの資源を消費している自動車レースや航空ショーなどへの批判はあまり聞かない。「食べ物は命を奪っているからだ」という倫理的な側面はあるものの、バイオエタノールや紙など、食品以外のものもしばしば命を奪って作られている。また、食品はたいていが再生可能だが、石油などの化石燃料は出来るまで何億年もかかり、使い切ってしまったらおしまいなのだから、より大事にすべきだとも言える。
 大食い大会で潤うのはラーメン屋など一部の店舗だけだが、自動車レースなどは多くの大企業の利益に関係しているという事実がある。そのことが原因で、メディアの資源の無駄への批判が甘くなり、視聴者がそれに影響されているのだとしたら、困ったものだ。



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