ココロコネクト ロジカル――ココロコネクト クリップタイム感想




(本稿はココロコネクトシリーズのネタばれを含みます。)

 ココロコネクトシリーズ(庵田定夏著、ファミ通文庫)はちょっと変わったライトノベルだ。ライトノベルというよりは、『時をかける少女』などに代表される正統派ジュブナイルの香りがする。
 現在の主流派ライトノベルに登場するのが主に残念な奴なのに対し、ココロコネクトの登場人物達は皆すがすがしい若人である。また、通常のライトノベルはキャラクターの関係性が何巻も固定されたままなのに対し、ココロコネクトは一巻毎に激変し、着実に前へと進んでいる。
 キャラクターの内面を深くまで掘り下げているのに、主要キャラクターが五人だけというのも珍しい。通常、ギャルゲーに代表される、キャラクターの内面を掘り下げていくタイプの話では、一回掘り下げると掘り下げるべき鉱脈が尽きるので、新キャラを逐次投入していくのが普通だ。しかし、ココロコネクトはキャラクター達を何度も掘り下げ、新たな光を当てることに成功している。それは、作者の合理的なキャラクター配置による所が大きい。

1文化研究部五人の配置
 通常のギャルゲータイプの話は、ヒロインが四人いた場合、主人公とヒロイン四人、すなわち四通りの関係を描く。登場人物は五人なのに、関係性は四通りだけだ。従って、多くのヒロインを必要とする。一方、ココロコネクトでは文化研究部五人に対し、全ての組み合わせ、すなわち十通りの関係を描いている。それ故に、たった五人の主要キャラクターで、四巻まで濃密な話を維持することが出来たのだ。

2ふうせんかずらの配置
 ココロコネクトのもう一つの合理性、それは敵役、ふうせんかずらの設定だ。ふうせんかずらは徐々に背景が見えてきたとは言え、謎の多い存在だ。だが、実はふうせんかずらの正体などはっきりしている。主人公達に適切なタイミングで試練を与え、話を面白くする存在。すなわち作者だ。入れ替わりなどの超常現象がランダムに起こるという設定も上手い。ランダムに起こるということは、裏をかえせば作者がストーリー上都合の良いタイミングで、都合の良いキャラクターに対し超常現象を起こせるということだからだ。

 『ココロコネクト クリップタイム』で文化研究部の五人が下した新入部員を迎えるという決断に、私は納得がいかなかった。ふうせんかずらのリスクは、リスクを知らない人間に負わせるには大きすぎる。だが、作者の視点で見れば、不可避な選択であることが分かる。
 文化研究部の五人は度重なる超常現象で人間的に成長し、もはやふうせんかずらがどんな揺さぶりをかけようが揺らがなくなってしまった。このままでは話が面白くならない。そこで必要とされた揺らぐキャラが新入部員の二人だ。
 文化研究部の五人は、ふうせんかずらが乗り越えられない試練は与えないことを見抜き、心のどこかで信用しているのかも知れない。



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