東雲文芸38――官能小説2
計画的セックスにうってつけの日
東雲長閑
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「前回の我々の失敗は、計画性に欠けていたことではあるまいか。」
夜のリビングで、浩二が言った。
「確かにそうね。これからは二人で事前にコンセンサスをとってから物事を進めましょう。」
美苗が賛同した。
「では今夜は何時間行うことにしようか。」
「私は一時間を主張します。」
「俺は二時間が良いと思う。」
「いやいや、長すぎるって。二時間もあったら本が一冊読めるじゃない。」
「じゃあ間をとって一時間半にしよう。」
「でも、私、十時二十分からラジオの英語5分間トレーニングを聞かなくちゃいけないから、一時間半は無理ね。」
浩二が時計を見ると、九時十五分だった。
「そんなの日曜の再放送で聞けば良いだろう。」
「毎日欠かさずトレーニングを続けることで英語の筋肉が鍛えられるのよ。」
浩二は嘆息した。
「分かった。開始から一時間の所で五分間のインターバルを挟み、その後三十分間続けることにしよう。」
「それなら良いわ。」
美苗は頷いた。
「それで、一時間半の割り振りはどうする。」
「最初の三十分は前戯に当てよう。」
「まあ、妥当な所よね。これについてはコンセンサスが得られたので、続きは前戯をしながら決めましょう。早く寝たいし。」
「良いだろう。」
二人は前戯を開始した。
「残りの一時間だけど、十五分ずつ、正常位→騎乗位→英会話→正常位→騎乗位というのはどうだろう。」
美苗が顔を顰めた。
「あなたは私に累計三十分間も腰を振り続けろと言うの。私の負担が大きすぎると思わない?」
「しかし君は常々、夫婦間の負担は公平にしろと主張しているじゃないか。俺だって大変なんだぞ。」
「それは一理あるわね。じゃあ座位を入れて双方の負担を軽減しましょう。正常位→騎乗位→座位→英会話→正常位→騎乗位→座位でどう。」
「スムーズな体位の移行を考えるなら、正→座→騎→英→正→座→騎の方が良いんじゃないか。」
「受精のことを考慮すれば、最後は正常位の方が良いんじゃないかしら。」
「よし。騎→座→正→英→騎→座→正で行こう。」
「そうしましょう。そろそろ三十分になるから、最初の十分間を始めましょう。」
「きっちり時間通り計画を完遂するぜ。」
計画は最初の五分間で終了した。
(11.09)
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