あせびちゃん･･････恐ろしい子！

　先々月の雨の朝。私は通勤のため、駅へと急いでいた。ショートカットのため、駐車場を突っ切り、数段の階段を降りかけた所で世界が回転した。気がつけば私は空を見上げて地面に横たわっていた。雨にぬれていた鉄製の階段で足を滑らせたのだ。立ち上がろうにも腰の辺りがじんじんして、中々立ち上がれない。転んだ時に、階段に尻を打ちつけたのだ。リュックをしょっていなかったら、頭を打っていたかもしれない。私は三十秒くらい後、ようやく起き上がり、何とか会社へと向った。（後で見たところ、尻に青痣が出来ていて、直るまで一ヶ月くらいかかった。）
　昼休み、私はリュックから弁当を取り出して絶句した。弁当の箸が真っ二つに折れていたのだ。

しかも弁当箱はおかず入れとぶつかって大きく陥没し、おかず入れは中の塗料が剥げ落ちてハンバーグに降りかかっている。もしリュックに弁当が入っていなかったら、骨でも折れていたかも知れない。私はハンバーグから丁寧に塗料を取り除きながら、弁当を味わった。
　帰宅後、私は通勤途中で読んでいた『ベン・トー５・５　箸休め～燃えよ狼～』（アサウラ著、集英社スーパーダッシュ文庫）の続きを読み始めた。すると、最後のページにこんな注意書きがあった。

　本作は通常よりもあせびちゃんの出番が多いため、それにより読者の皆様に何らかの影響を及ぼす可能性は否定しませんが、これに関しまして集英社及びアサウラに責任を負う気はこれっぽっちもありません。ご了承ください。

　知らない人のために説明すると、『ベン･トー』にはあせびちゃんという恐るべき不幸体質の女の子が登場する。そして５・５巻ではあせびちゃんに関わったばかりに、主人公、佐藤洋の尻がえらいことになったり、病院送りになったりするのである。

　弁当
　尻
　読者の皆様に何らかの影響

　･･････えっと、今さら言っても遅いかも知れませんが『ベン・トー５・５』は自宅など、比較的安全な場所で、細心の注意を払ってお読みください。

(10.06)

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