最近の東雲



祝祭温水プール――大江戸温泉物語感想



 お台場での仕事が五時過ぎまでかかり、直帰になった。そこで、前々から行こうと思っていた大江戸温泉物語に向かった。料金表を見ると、通常は1980円だが、18時以降入場だと1480円ということで、それまで公園で時間を潰す。船の科学館まで歩いて行って戻ってくるとちょうど時間になったので、入場する。靴を脱いで館内に入ると、受付に列が出来ていた。ここで通行手形を受け取る。館内ではこれを示せば現金を使わずに買い物ができるが、退館時に入館料とまとめて請求される仕組み。思わず無駄なものを買ってしまわぬよう、気を引き締める。
 入場者は次に、好きな柄の浴衣と帯を選び、更衣室で着替える。ここが大江戸温泉物語の上手い所で、更衣室の先に広がる館内では、浴衣の入場者と着物のスタッフしかいない。お祭りに行けば浴衣姿の女性は沢山見かけるが、全員が和服を着ているということは有り得ない。大江戸温泉物語では、浴衣姿の人並みが館内に再現された江戸の盛り場と相まって、祝祭感が半端ない。火の見櫓を中心に提灯が連なる広小路を歩いていると、テンションがぐっと上がってくる。
 次に大浴場に向かったのだが、これはがっかりだった。十くらいの浴槽があるのだが、多くが塩素の香り漂う沸かし湯だったのだ。露天風呂もあるのだが、背後の岩がはりぼてっぽかったりと風情がない。温泉というよりは温水プールに近い。温泉ファン向けの施設ではないようだ。
 風呂から上がって食べ物屋を見て回ったのだが、全体的にお祭り価格である。休憩所などもあり、食っちゃ寝するのが正しい過ごし方なのだろうが、家まで遠いのであまりのんびりもしていられない。お土産のポテトを買って、館内を後にした。
 スーパー銭湯として見ると、入館料1480円はかなり高い。浴衣貸出料が含まれているからだ。かと言って、浴衣貸し出しを別料金にすると、館内を洋服の連中がうろつくこととなり、最大の売りである祝祭感が薄れてしまう。痛し痒しといった所か。

(12.09)



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