最近の東雲
2年前のカップ麺を食う
部屋の隅に埃の積もったカップ麺が置いてある。以前、会社の先輩達と飲み屋に行った時、くじびきでもらったカップ天そばだ。そんな体験は初めてだったのですぐには食べずに取っておいたのだが、先日ふと見ると賞味期限が切れていた。それもちょっと過ぎていたのではない。2年2ヶ月も過ぎていた。さすがに捨てようかと思ったが、カップ麺は熱湯で加熱するため雑菌が繁殖していても死ぬだろう、と考え、食べることにした。
ビニールを取って蓋を開ける。特にカビが生えたりしてはいない。しかし、ネギが茶色くなっている。
スープの粉をふりかけ、天ぷらを載せ、沸かしたお湯を注ぐ。三分たったので居間に持って行って食べようとカップを持ち上げると、テーブルに茶色い汁が垂れている。どうやら二年の間に容器が劣化しており、熱湯に耐えられず穴が開いたようだ。賞味期限を過ぎると中の食品のみならず、容器までもが不適切な状態になるとは初めて知った。
蕎麦を口に運ぶ。不味い。恐るべき不味さだ。何というか埃のような味である。埃っぽい部屋に置いておいたからなのか、蕎麦が変質したからなのか分からないが、とにかくひどい。昭和初期の古本を食ったらこんな味がするのではないだろうか。一方、天ぷらの踏みとどまりようはあっぱれであり、普通の味だった。天ぷらでごまかしながら蕎麦を食べ進めたのだが、あきらかに食べては駄目な味がしている。結局、蕎麦は半分くらい残してしまった。
読者諸氏はくれぐれも賞味期限内に食べることをおすすめする。
(13.01)
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