映画けいおん!=水曜どうでしょう――映画けいおん!感想
(本稿は映画けいおん!のネタバレを含みます。)
『映画けいおん!』(山田尚子監督、京都アニメーション)を見て、これは水曜どうでしょうだと思った。
映画けいおん!の内容を要約すると、軽音部のメンバーがロンドンに卒業旅行に行って帰ってきて先輩四人が後輩梓へ曲を贈る話である。予告編を見るとロンドンに行ったりバンド解散の危機みたいなことがほのめかされていたりして、普段よりスケールアップした話が繰り広げられるのかと思ったが、見てみたら全く普段通りだった。そもそも作品のテーマが普段通りで良いのだということだし。ロンドンへ行くエピソードが作中の大半を占めているが、物語構造上の機能は「唯達が、普段通りで良いのだと確認する」だけである。従って、旅行先は普段とは違った所ならロンドンである必要はない。旅行先をあみだくじで決めていたのが象徴的で、どこでも良いのだ。
にも関わらず、映画けいおん!は面白い。空気までもが伝わってくるようなロンドンの町の描写はすごいが、それらは惜しげも無く背景としてさして焦点を当てられることもなく消費されていく。描写の焦点はあくまで軽音部の五人であり、五人のだらだらした掛け合いが作品の面白さを支えている。
旅行先は背景であり、登場人物の掛け合いが面白さを支えている。私が映画けいおん!=水曜どうでしょうだと思った所以である。
山田監督の新作、たまこまーけっとだが、けいおん!と比べると、キャラクターが弱いように思う。平沢唯や大泉洋氏のような話しているだけで面白いキャラクターというのは非常に貴重なのだ。
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